有効な遺言と無効な遺言

2017-09-23

「こんな遺言書絶対認めない!」
このようなセリフを、ドラマの中で一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 

これはテレビの中の話だけではありません。身内が亡くなった後に遺言書が見つかったけれど「書かれていることを本当に実行していいのか。」「不公平な内容で身内と揉めそう。」と悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。

そこで今回は遺言書の有効・無効についてご紹介します。

 

■遺言で書かれていて有効なもの。

 遺言に書いて法的効力をもつ事項は民法等で決められています。それは大きく分けて3つあり、「財産」「身分」「執行」です。

 

まずは財産ですが、遺言書があれば法律に従った割合で相続することはなく、亡くなった人の意志に沿った財産の分配が可能になります。ただし、後に述べる遺留分に注意が必要です。

なお相続人以外の人でも受け取り可能で、遺贈といいます。

 

次に「身分」に関してですが、遺言で婚外子の認知を行うなどができます。

最後に「執行」ですが、きちんと遺言書の内容を執行してもらう人が選ばれていないと、遺言書通りに財産が分配されないかもしれません。また、相続人以外への遺贈の場合は執行者を選んでいないと面倒な手続きが必要になってしまいます。

 

■遺言書で無効になるもの

 上記の内容以外の事が書かれた遺言は、例えば「家族みな仲良く暮らすこと」という記載は法的な効力は持ちませんが、遺言自体がそれで無効になるということはありません。他の記載事項は有効です。

 無効に近い事項として、よく当事者で揉める原因の一つになるが「遺留分」です。

この「遺留分」に関しては、遺言書自体が無効になるわけではありませんが、遺留分を侵害された相続人は、侵害された分をよこせと請求することができます(遺留分減殺請求といいます)。

 

次に無効になる(自筆証書)遺言の形式です。遺言が執行される時にはすでに遺言した本人は他界していて、本当に本人の意思で書かれたのか確認できないため、民法で決まっている形式で書かれているという事が一番重要視されます。

動画や音声で残された遺言や、パソコンで作成した遺言は無効になってしまいます。

また、うっかり抜けているかもしれない「日付」もなくてはダメです。

また、亡くなった本人のみが全文・日付・氏名を書いた遺言書でなければいけません。

 

■遺言書についてよくある疑問

 まず、苗字が変わっている場合でも、旧姓で書いたものを書き直す必要はありません。戸籍を見れば分かるからです。

また、亡くなった方が悩んで何度も書き直したものが何枚も見つかる場合があります。その場合、日付の新しいものが有効になります。

そして亡くなった方の意思で書かれたものでなく、強要されて書かれたものは無効です。

最後に遺言書を見せる人を特定することはできません。

 

 

遺言書が有効・無効についてざっくりですがお分かりいただけたでしょうか。本サイトの遺言についての各ページに、より詳しく記載していますので、ご覧いただければと思います。

遺言書の言葉一つ一つに亡くなった方の思いが託されています。揉め事を少しでも起こさないためにもぜひ、遺産相続の際は参考にしてみてください。