相続放棄について基礎をまとめました。被相続人の借金にお悩みの方必見です。

2018-05-17

相続というと、無条件に被相続人の一切合切を背負うことになる、とお考えの方は多いのではないでしょうか。
相続には、相続をしないという相続放棄の選択もできます。
今回は相続放棄について、基礎の基礎からまとめました。

■相続放棄を規定する条文

相続放棄の規定があるのは民法915条です。
民法915条「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」

条文に規定があるように、相続人は、自分が相続人になったことを知った日から三ヶ月以内(熟慮期間)に、三つの選択肢から一つを選ばなければなりません。

一つは、相続財産の全てを承継する単純承認です。
二つ目は、相続財産の限度において、相続債務を引き受ける限定承認です。
そして、三つ目の選択肢は、相続による承継の効果をすべて消滅させる相続放棄です。

一度一つの選択肢を選んだら、原則その意思表示は撤回できません。(民法919条1項)
そのため、後からプラスの相続財産が出てきた、というような場合にも撤回はできません。
ただし、その選択をした理由に、詐欺や強迫が認められる場合は取り消し可能です。

■相続放棄の効果

相続放棄によって、相続人は初めから相続人とならなかったものとみなされるようになります(民法939条)。

プラスの相続財産に比較して、借金といったマイナスの相続財産が大きすぎる場合や、プラスの相続財産がなく借金しかないような場合に、通常取られる手段です。

また、借金は無くても、遺産相続を巡って相続人間に熾烈な争いが生じるのが明かで、自分は財産もいらないので一切関わりたくないといった場合にも有効な手段となります。

このような場合には相続放棄をするメリットがあるといえます。
相続人とみなされなくなっても血縁関係は変わらず残るため、親子でなくなるのでは、といった不安を抱える必要はありません。

ただし、先順位の相続人が全員相続放棄をした場合、次の順位の相続人に相続する権利義務が移ります。自分が負債を負わなくなった分、他の親族が負債を背負う可能性がありますので注意が必要です。
この点はあらかじめ相談しておくのがおすすめです。

■まとめ

今回は、相続放棄について基礎の基礎からまとめました。
相続についてお考えの方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
疑問点や相談事がある際はお気軽にご連絡ください。