遺言書の検認について徹底解説。遺言書はすぐに開封してはいけない。

2018-05-13

遺産相続は遺産争族と言われることがあります。
文字通り、相続は親族間での対立を生みやすいため、そんな言葉が生まれています。
そして、そんなことを防ぐためにできるのが、遺言書の作成です。

しかし、そんな遺言書ですが、封印をしている場合、見つけたらすぐに開封してはいけないことをご存知でしょうか。
今回は、遺言書の検認について解説します。

■遺言書の検認とは

遺言書に書かれている内容を裁判所で確認して、偽造・変造を防止する手続き、それが検認です。
民法1004条1項には、「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。」と規定されています。

■検認をする目的

上記のように、偽造や変造を防止するためです。
勝手に開けられることにすると偽造が容易になってしまい、相続争いにつながります。
また、改変されてしまうと、本人はお亡くなりになっているため、確認する方法がありません。
こうした理由から、検認が法定されています。

■うっかり検認をせずに開封してしまった…

検認前に封印を開封した場合は、5万円以下の過料が課されることになります。
注意が必要なのは「封印」を開封した場合で、「封印」とは、遺言書を入れた封筒の封口を糊付けで閉じて、そこに押印(割印)をしている事を言います。単に封口を糊付けしているだけで押印がなければ「封印」してはいないため、開封しても過料が課されることはありません。

なお、「開封してしまったから、遺言書は法的に無効なのかな。自分は相続人にはなれないのかな。」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、うっかり開封してしまっても、遺言書の効力は、有効に作成されていれば失われることはありません。相続人の資格を失うこともありません。

ただし、遺言書を改ざん、隠蔽、破棄したような場合は、法律上当然に相続人としての資格失います。(欠格)民法891条に規定されています。

■遺言書の検認が必要な遺言書の種類

自筆証書遺言と秘密証書遺言は遺言書の検認が必要です。
自筆証書遺言は、印鑑一つで作成でき、偽造・紛失のリスクがあるため検認が必要です。
秘密証書遺言は、公証人に提示こそしますが、内容までは確認されないため検認が必要です。

公証人と証人の立会いの下で作成され、原本が公証役場に存在する公正証書遺言はそうしたリスクがないため、検認は不要です。(民法1008条2項)

■まとめ

今回は遺言書の検認についてご紹介しました。
遺言書は作成するのも一苦労ですが、開封するタイミングでも注意点があります。
事前に遺族の方に伝えておくのがおすすめです。
それでも不安な場合は、公正証書遺言を選ぶのがいいかもしれません。