遺言書の「検認」について、一連の手続きをご説明します

2018-01-09

遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります(詳しくは別記事にて紹介しております)。
このうち、自筆証書遺言・秘密証書遺言につきましては、家庭裁判所の「検認」が必要になります。

 

◎検認とは

遺言書の検認とは、遺言書を発見した人や保管場所を聞いていた人が家庭裁判所に遺言書を提出して、相続人や受遺者の立会いのもとで、遺言書を確認する手続きを指します。
遺言書の存在を明確にして、偽造されることを防ぐためになされています。この手続きにおいては遺言内容の有効・無効は判断されません。
 

◎検認をしなければ

相続の各種手続きでは、検認済みの遺言書を提出しないと手続きを進めてもらえません。

なお、封印された自筆証書遺言の場合、家庭裁判所で検認の前に開封すると5万円以下の過料という罰則が存在します。ただし、この場合に遺言書が無効となることはありません。

◎検認手続きの流れは

遺言書が見つかって検認を申請する場合には、検認申立書の他、遺言者の出生から死亡までの除籍謄本、改製原戸籍謄本の全て、法定相続人全員の戸籍謄本、遺言者の子およびその代襲者で死亡している方がいる場合はその方の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本・改製原戸籍謄本、といった書類を集めて、家庭裁判所に提出します。
 
なお、相続人が不存在の場合・遺言者の配偶者のみの場合・相続人が遺言者の兄弟姉妹(第三順位相続人)の場合は、遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本・改製原戸籍謄本、遺言者の直系尊属の死亡の記載のある除籍謄本・改製原戸籍謄本、 遺言者の兄弟姉妹で既に死亡している方の出生時から死亡時までのすべての除籍謄本・改製原戸籍謄本なども別に必要になります。
 
もし申立前に入手が不可能な戸籍などがある場合は,申立後に追加提出しても問題ありません。
申立ての費用として、遺言書1通につき収入印紙800円と相続人への通知用の郵便切手の代金がかかります。
 
提出書類に不備がなければ、2~3週間程で家庭裁判所から相続人全員の住所へ、遺言書を検認する旨と遺言書検認期日についての案内が郵送されます。
遺言書検認期日に申立人は遺言書原本・申立人の印鑑など指示されたものを持参して家庭裁判所で遺言書の検認手続きをします。
申立人がいれば他の法定相続人が出廷しなくても検認手続きをすることが可能です。裁判所にて封筒を開封し,遺言書を検認します。
 
遺言の執行をするためには,遺言書に検認済証明書が付いていることが必要ですので,検認済証明書の申請を行います。遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要となります。

その後、検認証明付きの遺言書を使って、不動産の相続登記や預貯金の名義変更などの相続手続きを行なっていくことなります。

 以上、遺言書の検認についてお話ししました。
遺言を書かれる方、受け取る方、どちらにとっても大切な手段です。ご不明な点がございましたら、無料相談を承りますので、是非ご連絡ください。