相続法改正~遺言に関する変更についての解説

2018-08-04

■はじめに

2018年3月13日に、40年ぶりに相続に関する見直しとなる民法改正案が閣議決定されました。

今日、急激に加速する高齢社会に対応する目的で閣議決定された改正案は、様々な改正を含んでいます。

今回は、最も影響が大きいといっても過言ではない、遺言に関する改正の内容についてご説明します。

 

■自筆証書遺言の作成形式に関する改正案

・自筆証書遺言の作成が簡易に

自筆証書遺言は全文を自筆(手書き)で作成することが求められていたため、財産がいくつかある場合、例えば不動産、複数銀行の預貯金、株など有価証券、自動車などの財産目録に関しても、手書きである必要がありました。

今回の相続法の改正案ではこれを緩和して、財産目録の部分は手書きを要しないものとしています。パソコンなどで作成することも可能になり、預金通帳のコピーなどを直接付けることも可能です。

ただし、財産目録を別紙として添付したうえで、全ページに遺言者の署名押印を要するものとしています。

 

■自筆証書遺言の保管および検認手続きに関する改正案

自筆証書遺言は、自分または受遺者、信頼できる第三者などが保管し、公正証書遺言のように公的保管の制度はありません。そのため、偽造や変造の可能性もあることから、遺言者が死亡後、遺言書が発見された場合、相続人全員が立会いのもと、家庭裁判所での検認手続きを経る必要があります。

今回の改正案では、自筆証書遺言を法務局で保管する制度の創設が提案されています。遺言者が法務局に保管申請をすると、遺言書の形式審査を経て、原本を法務局で保管するとともに画像も保管します。遺言者死亡後、相続人・受遺者・遺言執行者が請求をすると、その画像情報に法務局の証明したものを交付されるとともに、他の相続人にその通知がされるといった手続きを想定している様です。

また、法務局で保管されているため変造などの危険がないことから、法務局保管の自筆証書遺言については、家庭裁判所での検認手続きが不要になります。