遺言で揉めないために押さえておきたい5つのポイント

2017-09-19

遺産相続で揉めないために遺言書を残そうかとお考えの方もいらっしゃるかと思います。しかし、その遺言書、ただ書けばいいというわけではないのです。今回は、そんな遺言書(自筆証書遺言)を書くときに気を付けたい5つのポイントについてお話しいたします。

 

■曖昧な表現は避ける

遺言書に記載されている表現が曖昧なために、実際にトラブルに発展してしまうこともあります。特に日付はきちんと明確に記載するようにしないと遺言書自体が無効になってしまうので、注意してください。具体的には「平成○○年○月吉日」が無効とされた裁判例があり、「平成○○年○月○日」と記載するようにしてください。 そして内容自体も、誰に、何を、どれだけ相続させるのか、明確に分かる表現を心掛けてください。特に「何を」では、不動産は登記簿を見ながら、預金は通帳を見ながら、株式や証券は証券会社の資料を見ながら記載することをお勧めします。例えば、「海老名の家は長男に」と記載している場合、海老名市内に自宅のほか貸家も持っていると、自宅のみか両方なのか分からず手続きができないといったことも起こりえます。

 

■相続財産の場所も記載しておく

現金や預金、不動産、株式や有価証券のほか、宝石類、美術品、骨董品なども相続財産になります。これらの財産分与の仕方について記載しても、その所在が分からないと分けられません。自宅内に全部保管してあれば良いのですが、身内の誰かや、信頼できる第三者に預けているなど、財産の所在を被相続人のみが知っている場合、忘れずにその保管場所も記載しておきましょう。「財産目録」という財産一覧表のようなものを別に作成しておくのもいいでしょう。

 

■遺言書の保管場所

遺言書は残された方たちにとって、非常に大きな意味のあるものです。したがって、一度作成したらそれが必要になるときまで、厳重に保管しておかなければなりません。特に自筆証書遺言はご自身で気軽に作成できる分、保管もご自身でしっかり行わなければいけません。ただ逆に、あまり厳重にしすぎると相続人の誰も見つけられず、みな遺言書は無いと思って手続きを進めてしまう事もありえます。後記の遺言執行者や、信頼できる者に託しておくか、自分の金庫などに保管する場合は亡き後に所在が分かる様にほのめかしておくなどが必要です。 なお、銀行の貸金庫は注意が必要です。遺言書で遺言執行者を定めていれば、遺言執行者が貸金庫を開けることができますが、そのためには遺言書を提示することが必要です。ところが、その遺言書が貸金庫の中にあるとそもそも開けなければ提示できません。その場合は、相続人全員の同意書で開けることになりますが、協力しない相続人や連絡のつかない相続人がいると貸金庫を開けることができず、せっかく書いた遺言書を取り出すことができなくなります。

 

■遺言執行者を決めておく

遺言内容をそのとおりに実行するのが「遺言執行者」です。相続人の中の1人を遺言執行者にすることが多いのですが、遺言書の内容で相続人間で揉める可能性がある場合には、この役割を家族以外の信頼できる方に頼んで、遺言書に明確に記載しておく方が良いかと思います。遺言書を作成するときに協力してもらった弁護士、司法書士、行政書士などに遺言執行者を依頼する方も多くいらっしゃいます。

 

■遺言書の内容変更は遺言書で行う

遺言書の内容を後日変えたいという場合もあるかと思います。そんな時は必ず遺言の方式で行わなければなりません。内容すべてを撤回したいのであれば、遺言書自体を破棄すればそれで大丈夫です。一部を変更したい場合は、変更したい内容だけ別で新しく遺言書を作成します。訂正印を押して書き直すのではないことに注意してください。

以上のポイントに気を付けて遺言書を作成してください。