まぎらわしい「相続放棄」と「遺留分放棄」の違い

2018-04-23

「相続について調べているが、相続放棄や、遺留分についてあまり理解できない」
そのような方に、今回は「遺留分の説明」と「遺留分放棄と相続放棄の違い」について解説していきます。

 

■遺留分とは

遺留分とは、民法に定められた相続人が、被相続人の遺書の内容に関わらず、受け取ることのできると保障された一定割合の資産のことです。

 

被相続人が遺書で特定の一人に遺産の全てを相続させる旨を書いていた場合、被相続人の遺産を当てにしていて、受給できないと生活できないような事態も予測されます。
そのような事態に備えて、「配偶者・子供・直系尊属」が、被相続人の遺書の内容に関わらず受け取れる遺産の割合が規定されています。

 

遺書で、「子供に遺産の全てを相続させる」など配偶者の遺留分を考慮していない場合は、配偶者は家庭裁判所に遺留分減殺請求を行い、遺産の中から一定の金額を受け取れます。
そのような場合、「遺留分減殺請求」という請求を行う必要があります。

 

■遺留分放棄について

相続開始前に、遺留分は自由に放棄することはできません。遺言者の圧力で無理やり遺留分を放棄させられる事態も想定され、そうすると遺留分を保障している意味が無くなってしまうからです。ただし、一切放棄できないわけではなく、家庭裁判所の許可を受けて放棄することはできます。遺留分放棄の意思がある旨を、相続開始前つまり被相続人の生存中に家庭裁判所に申し立てて行います。

 

■「遺留分放棄」と「相続放棄」の違い

遺留分放棄とは、前の段落で説明した通りですが、
相続放棄とは、被相続人の資産・債務両方の相続権の一切を放棄することです。
相続開始後3カ月以内に家庭裁判所で申述します。

 

家庭裁判所で手続きを行う時期も違いますが、「遺留分を放棄する」と「相続権を放棄する」では、大きく意味合いが違ってきます。

遺留分放棄手続きを行っただけでは、相続権は放棄していないため、被相続者の債務の負担義務があります。また、相続人として遺産分割協議にも参加できます。

それに対し、相続放棄を行うと、被相続者の債務の負担義務はありません。その代わり、遺産分割協議には相続権がないので参加できません。

 

以上が、遺留分放棄と相続放棄についての解説でした。
たかの司法書士事務所では、相続放棄手続きをお手伝いしています。
ご連絡お待ちしております。