遺産相続の時に役立つ相続税の基礎知識を

2017-10-29

「両親が80代にさしかかろうとしていて、いつ不幸ごとが起きるか分からない」
「今から遺産相続についての知識を蓄えておきたい」
ご両親が高齢になるにつれて、こういったことを考える機会が多くなるものではないでしょうか。

今回は遺産相続の際に必ず耳にする相続税についてお話しします。この機会に相続税についての基礎知識について理解しておきましょう。

◇そもそも相続税とは?

相続税とは、亡くなった人の財産を相続人が引き継ぐ際に支払わなければならない税金のことです。遺産の総額から基礎控除を引いた金額に対して、その金額に応じて10%~55%の割合で課税されます。

なお相続人でない方でも、遺言により遺産を譲り受ける場合にも発生します。

◇相続税の基礎控除

相続税には基礎控除があり、遺産の総額がこの基礎控除額を超える場合に、超えた部分についてのみ課税されます。

基礎控除の金額は、「3000万円+法定相続人の人数×600万円」です。相続人が妻と二人の子の3人であれば、4800万円になります。

遺産の総額がこの基礎控除額により低い場合(多くの方がそうです)は、相続税の申告をすることも必要ありません。

◇申告する際の基本的な手順

1.相続する遺産がどれだけあるか確認する。

遺産総額がいくらになるかの確認がまず必要です。現金や預金はそのままの金額でよいので簡単です。ただ、不動産については路線価格を使っての計算が必要で、家族で株式会社を経営している場合の非上場株の計算となると結構複雑になります。骨董品の収集家であった場合にもその評価がいくらになるのかすぐには計算できないでしょう。

遺産総額が明らかに基礎控除を超える場合のみならず、基礎控除を超えるか微妙な場合や、簡単には計算できない場合には、早めに税理士に相談することをお勧めします。

なお、葬儀費用や債務など相続財産からマイナスされるものは差し引いて計算します。

2.法定相続人の人数を確定させ、基礎控除の金額を算出する。

基礎控除は上でご説明した通り「3000万円+法定相続人の人数×600万円」なので法定相続人の人数を確定させなければなりません。

法定相続人の人数は、被相続人の戸籍謄本を出生から死亡まですべてを取得して養子や婚外子も含めて確定させます。稀にではありますが、家族が知らない婚外子が戸籍収集で発覚するという事も実際あります。

3.相続財産から基礎控除の金額を引いて相続税を計算する。

相続財産の金額と基礎控除の金額が決定したら、相続財産から基礎控除を差し引きます。マイナスになる場合は相続税の申告も必要ありません。

プラスになった場合、必ずしも相続税が課税される訳ではありません。配偶者控除や、小規模宅地の軽減措置を受ける結果、課税はゼロになる事も多くあります。この場合は結果的に課税が無くても相続税申告じたいは必要ですので注意が必要です。

いかがでしょうか。
相続税の申告が必要な場合は、相続が発生してから10か月以内に申告しなければなりません。
より詳しい内容について、本サイトの別ページにも記載しておりますが、個別的な実際の試算になると税理士に相談されることをお勧めします。