借金の相続を逃れる方法ー相続放棄とは

2018-03-26

相続権の放棄をお考えの方の中には、
「親の遺産を相続しようとしたら、多額の借金があった…」
「債務超過で相続するメリットがない…」
このようなお悩みを抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

資産を超えるほどの債務を相続してしまう、一部の相続人に相続権を集中させたいといった理由で相続放棄を選ぶ方がいらっしゃいます。
そこで、ここでは、相続放棄によって何ができるのか、どのようにすれば相続放棄できるのかをご説明します。

■相続放棄にはどんな効果があるのか

「相続放棄」をすると、「初めから相続人とならなかった」ものとされます。相続人としての一切の権利義務がなくなります。
相続放棄を利用すれば、超過している債務から逃れたり、相続資産を一部の相続人に集約したりできます。
遺産の権利を集約することは遺産分割協議でも可能です。しかし、債務を免れるには、相続放棄によるしかありません。
債務を相続してしまった場合、相続人に返済の義務が発生します。放置していると、相続資産を差し押さえられるだけでなく、相続人自身の資産も返済資金の対象となる可能性があります。
ただし、相続放棄をすると資産に対する相続権も放棄することになるので、不動産や骨とう品など欲しい物だけをもらうということはできないことに注意してください。

■相続放棄をする方法とは

相続放棄をするには、家庭裁判所に申し立てる必要があります。
相続開始から3か月以内に、相続放棄申述書という書類を家庭裁判所に提出してください。
同時に、被相続人の戸籍の附票または住民票の除票、被相続人の死亡が分かる除籍、申述人の戸籍謄本、が必要です。

相続放棄には期限があります。
民法第915条は、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に相続放棄か限定承認か単純承認を選ばないといけないと規定しています。
通常は被相続人の死亡日から3カ月ですが、被相続人の死亡を知らなかった場合や、存在が認知されていない資産・負債があった場合には、相続の開始が被相続人の死亡日より後だとされる場合もあります。

また、相続人が複数いる場合に他の相続人から相続放棄することの承認・許可を得る必要はありません。
つまり、債務超過などで相続放棄をする必要があると判断すれば、相続人それぞれがご自身の判断でできます。

相続放棄の手続きはそれほど複雑ではありません。
ただし、相続放棄が必要かどうかを判断するには、資産と負債の多少を見極める必要がある場合もあります。その場合には、専門家に相続資産の状況を診てもらうの事をおすすめします。