40年ぶりの民法改正|遺留分についての変更点

2018-08-12

■はじめに

2018年3月13日に遺産相続に関する民法改正が閣議決定されました。相続分野の見直しは40年ぶりとのことで、大きな変化がもたらされることが予測されます。
それにより、遺産相続や遺産分割が現在の相続法とは異なる変更がなされるため、どう変化するのかを事前に確認しておく必要があります。
今回、この記事では、遺留分に関する変更についてご紹介します。

 

■遺留分減殺請求の効力について

遺留分の侵害を受けた場合、侵害をした贈与または遺贈を受けた者に対して、遺留分減殺請求ができます。遺留分減殺請求をすると、その贈与や遺贈は効力を失い、減殺請求を受けた者は原則としてその物を返還しなければなりません。現物返還するのが原則で、さらに第三者にその物が譲渡されている様な場合に例外的に金銭で支払う(価額弁償)事が認められています。

相続法改正案では、現行では例外とされている価格賠償に一本化して、遺留分減殺額請求によって金銭債権が発生するものとしています。つまり、遺留分侵害額に相当する金銭を請求できるもものと提案しています。これにより、これまでは遺留分減殺請求によって不動産が共有状態になり、その後の共有物分割訴訟などで解決までに長期間を要していたような事案で、早期の解決も可能になってくるかもしれません。

ただし、そうすぐに用意できる金額ではない場合も考慮して、遺留分を侵害する贈与や遺贈を受けた者は、裁判所の許可を得ることで、支払い猶予を受けられる制度の創設も提案しています。

 

■おわりに

遺言書を作成する場合、遺留分にも留意して、場合によっては遺留分を考えた現金を準備しておくことが必要です。

40年ぶりに民法が改正されるということで、遺産相続や遺産分割が大きく変化しようとしています。
まだ、確定していない事項もあるため、詳細は今後の動向を確認する必要がありそうです。