「遺言書の撤回」に関する3つのケースと5つの方法

2018-03-30

「遺言書の内容をどうしても変えたい」
「どうしたらいいのか」
遺言書は、一度書いても後で修正したいというケースは多いようですので、このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

今回は「遺言書の撤回」に関する3つのケースと5つの方法に分けてご説明します。

 

■遺言書の撤回

被相続人は生きている間に既に作成した遺言書を撤回できることが民法1022条に明記されています。

 

■遺言書の撤回方法

1.遺言書を一つも残さない場合

・遺言書を破棄する
「自筆証書遺言」で、自身で遺言書を保管している場合は、破棄することですでに作成した遺言書を無効にできます。
作成した遺言書が「公正証書遺言」の場合、原本が公証人役場にありますので、手元の「正本」「謄本」を破棄しても遺言の撤回にはなりませんので、ご注意ください。

 

2.新しく遺言書を作らない場合

・遺言書を訂正する
「自筆証書遺言」であれば、自身で遺言書を保管しているので、訂正することで内容を変更できます。ただし、訂正方法は厳格に定められていますので、注意が必要です。

 

・生前処分など遺言後の法律行為に抵触する行為をする
遺言書に「Aに自宅を遺贈する」と記載していても、生前にBに譲渡していれば、その部分だけは遺言の法的効力がなくなります。
この場合、遺言書を書き直したり新しく遺言書を作成する必要はありません。

 

3.新しく遺言を作る場合
・条項を入れた新しい遺言を作る
「被相続人は、○年△月×日に作成した遺言を全部撤回する」という条項を新しい遺言書に加えることで、前の遺言書の全ての内容を撤回できます。

 

・前の遺言の内容と抵触する新しい遺言を作る
「被相続人は、○年△月×日に作成した遺言を全部撤回する」という条項が新しい遺言書になくても、以前の遺言書と抵触する内容が新しい遺言書に書いてあれば、法律上、新しい遺言書の内容が優先されます。以前の遺言書の、新しい遺言書に「抵触する部分」だけが撤回されます。

 

■まとめ

・「遺言書を一つも残さない場合」「遺言書を新たに作らない場合」「遺言書を新しく作る場合」の3つのケースに分類できる。
・自筆証書遺言は、撤回したい遺言書を破棄または訂正することで撤回できる。
・生前処分など、遺言書の内容と抵触する行動を被相続人が生前に行っていた場合、遺言書の「抵触する部分」は撤回されたことになる。
・新しい遺言書を作って前の遺言書を撤回する場合2通りの方法がある。

 

以上が遺言書の撤回方法に関する解説でした。
たかの司法書士事務所では、遺言作成、遺言執行の業務を行っています。
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