相続登記をするべき理由。相続登記について基礎の基礎から解説します。

2018-05-21

所有者不明の土地が増えすぎて、問題になっていることをご存知でしょうか。
所有者不明の土地を全て合わせると、九州の面積を上回るという推計もあります。
そして、この問題と密接に関わっているのが相続登記です。

今回は、その相続登記について基礎の基礎から解説します。

■そもそも登記とは

登記とは、一定の事項を広く公に示すために公開された帳簿に記載することを指します。
この制度の一種が、不動産登記です。
ここでいう一定の事項は、土地や建物の所在や権利関係ということになります。

土地建物は、そこに住んでいる人が所有者であるとは限りません。土地にはそもそも名前など書いていませんし、建物には表札がありますが、借りて住んでいるだけかもしれません。
ある一軒家に住んでいる人がここを売ってくれると言っても、本当にその人が所有者なのか分かりません。
これを容易に調べる事ができる様に、この不動産は誰のものかを公に示す制度、それが不動産登記です。
そして、親などから引き継いだ土地建物の登記名義を、自分に変更する手続きが相続登記ということになります。

■なぜ不動産は登記する必要があるのか

それは、取引の安全を守るためです。
不動産の売買は非常に高額になります。
高額になる不動産取引の安全を保証し、安心して不動産を売買できるようにするため、不動産登記があるのです。

■しかし相続登記はされていない…

相続登記がされていない土地が増えているという現状は冒頭で述べました。
では、相続登記は、なぜされていないのでしょうか。

それは、まず、相続登記をする法的義務が存在しないためです。相続登記をする手続きが煩雑で、費用も掛かるため、というような理由も挙げられます。

■しかし、相続登記はするべき

短期的には問題は生じなくても、長期的に見ると大きな問題の火種になってしまう可能性もあります。
孫やひ孫の代くらいになって、いざその土地を処分する必要が生じたというような場合が結構あります。祖父名義・曾祖父名義のままになっている場合です。

亡くなった当時に速やかに手続きをしていれば、相続人5名で遺産分割協議すれば良かったものが、いまや相続人はその子や孫たち20名近くになり、連絡が取れない者もいたりすると、なかなか手続きができません。

所有者不明の土地とは、まさにこの様な、さらに長期間放置されている様な土地をいいます。

このように、相続登記をしないことにより生じる不利益はあります。

■まとめ

いくら義務がないとはいっても、相続登記をしないことから生じる不利益を考慮すれば、相続登記はしておくのがおすすめです。