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不動産相続でお困りの方へ|相続登記の仕方を解説します

2018-06-18

「不動産を相続することになったけれど、どうやって相続手続きを行なえばよいかわからない。」
「相続登記ってどうすればできるの?」
このように悩んでいる方は多くいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、相続登記とは何か、どう行なえばよいかといった手順についてご紹介します。

 

○相続登記とは

相続登記とは、被相続人が所有していた不動産の相続をする時に、その不動産の名義を相続人の名義に変更する手続きのことです。
遺言書や遺産分割協議によって相続人の財産の取得分が決まりますが、それだけでは遺産を相続されたことにはならないのです。不動産であれば、法務局での名義変更の手続きを行って初めて、その不動産の遺産が相続されたことになるのです。

 

○相続登記に必要な書類

相続登記の必要書類は主に9つあります。
① 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
② 被相続人の住民票の除票
③ 相続人全員の現在の戸籍謄本
④ 相続関係説明図
⑤ 不動産所得者の住民票
⑥ 不動産の固定資産評価証明書
⑦ 相続登記申請書
⑧ 不動産の登記簿謄本
⑨ 登記委任状

遺言書や遺産分割協議によって不動産の相続が決まった場合はさらに数枚書類が必要となるので、よく確認しておくとよいでしょう。

 

○相続登記の期限

不動産登記は基本的に期限が決められておらず、いつでも相続登記を行うことができます。しかし長い間そのまま放っておくと、子供や孫が出産されて相続の権利者が細分化したり、相続者の連絡が取れなくなったりするので、早いうちから済ませておくとよいでしょう。

 

○相続登記にかかる費用

不動産の所有権や持分権を登記する場合、登録免許税という税金がかかります。登録免許税は固定資産課税台帳価格×税率で算出することができます。

 

さらに、必要書類を揃えるために1通の発行料金がかかります。相続人が多い場合や相続内容が複雑だったり不動産が自宅から遠い位置にある場合は、自分で書類を揃えるよりも専門家に依頼した方が安くすむことがあります。

 

○相続登記の申請方法

法務局で相続登記の申請を行なわなければいけませんが、申請する際は法務局の窓口まで出向く方法の他に、郵便で申請する方法とオンラインで申請する方法があります。

 

以上、相続登記を行う上での主な手順についてご紹介しました。大変複雑な手続きが多いので、スムーズに相続登記を行うためにも専門家に相談するとよいでしょう。たかの司法書士事務所では相談を無料で承っていますので、お気軽にご連絡ください。

すぐに開封してはいけません|遺言書の検認について

2018-06-14

遺産相続に関して親族間でトラブルが起きることはよくあるケースです。
そして、これを防ぐためにできるのが遺言書の作成です。

 

もし仮に遺言書が見つかった場合、すぐに開封すると無効になってしまうことがあります。自分の思いや願いを残された遺族に確実に伝えたいですよね。

 

今回は、遺言書の検認についてご説明します。

 

○遺言書の検認とは

遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出して、相続人の立会いのもと、遺言書を開封して遺言書の内容を確認することです。

 

遺言書の種類には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がありますが、検認が必要になるのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言です。公正証書遺言については、公証人の立会いの下で作成しているので、改ざんや偽造される可能性はないので検認する必要がありません。

 

○検認手続きの流れ

①検認申立書、遺言者の出生から死亡まで一続きになった戸籍等、法定相続人全員の戸籍等の書類を集め、遺言者の最後の住所にある家庭裁判所へ提出します。

 

②書類に不備がなければ、約1ヶ月から1ヶ月半後に家庭裁判所から相続人全員の住所へ遺言書を検認する日についてのご案内が送られます。

 

③遺言書検認日に、申立人は遺言書を持参して、家庭裁判所で遺言書の検認手続きを行います。

 

④遺言書を検認した後は、遺言書の内容を執行するために「検認済証明書」を発行し、家庭裁判所から書類を返してもらい、遺産相続手続きを行っていきます。

 

○検認手続きの費用

遺言書1通につき収入印紙代として800円かかります。

裁判所によっては、連絡用の郵便切手が必要になる場合もあります。

 

○開封してしまった場合

もし誤って開封してしまっても罰金を課されることは滅多にありません。

法律上では5万円以下の罰金を請求されることになっていますが、検認手続きが必要であることがあまり世間一般に広く知られていないため、罰金を課されたケースはあまりありません。

 

また、遺言書を開封してしまったとしても、遺言書自体の効力や相続人の資格が失われることはありません。しかし、故意に遺言書を開封し、破棄したり改ざんしたり差し替えたりすると、相続人としての権利は失うことになります。

 

以上、遺言書の検認についてご説明しました。遺言書を見つけたとき、何気なしに開封して読んでしまう方も多いと思いますが、罰金を取られる可能性もありますので気をつけてくださいね。トラブルを未然に防ぐためにも、事前に遺族の方にお伝えしておくと良いかもしれません。

後悔しない相続放棄|相続放棄のメリットとデメリット

2018-06-10

「相続放棄ってなに?」
「相続放棄をするとどうなるの?」

遺産相続は、得となるようなプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続することになります。借金の額があまりにも大きい場合、相続することを放棄することも可能です。

しかし、相続放棄にはメリットもあればデメリットもあります。
今回は、相続放棄をして後悔しないためにも、相続放棄することのメリットとデメリットについてご紹介します。

 

○相続放棄のメリット

メリット①負債の相続を免れる

被相続人がクレジットカードなどで借金をしていたり、事業で銀行から借入をしていた場合相続人がその返済をしなければいけませんが、その必要が無くなります。また、被相続人が誰かの借金の連帯保証人になっていた場合もそのまま相続されることになるので、その心配もなくなります。

 

メリット②遺産分割協議に出なくて済む

法定相続人が全員集まって遺産の配分を決める遺産分割協議に出なくて済みます。この協議ではお互いの意見が合わずトラブルになることも多く、ひどい時には裁判所での協議が行なわれることもありえます。多くのお金と時間がかかってしまうことになるかもしれないので、揉め事が嫌いな方や忙しい方は、相続放棄するとよいかもしれません。

 

○相続放棄のデメリット

デメリット①得となる遺産も相続できない

相続放棄をしてしまうと、すべての遺産に対しての相続できる権利を捨ててしまうことになるので、得となるような遺産も相続できなくなってしまいます。例えば、不動産がある場合や高額な預貯金が残っている場合、負債を超える資産ならば全体として得になるかもしれません。

 

デメリット②資産が失われる

遺産の中には、先祖代々伝わる骨董品や宝石類、自分が育った家などもあります。相続放棄をしてしまうと、こういった伝統ある品物や思入れある資産も受け取れなくなります。

他の相続人がいる場合、そのまま資産として残すことはできますが、自分しか相続人がいない場合は、相続財産管理人が売り払ってしまい、土地は国ものになってしまいます。

 

○相続放棄の期限

相続放棄をするか否かを考える期間として熟慮期間が設けられています。この熟慮期間は3ヶ月ですが、特別な理由で3ヶ月以内に決めることができなかった場合、家庭裁判所に対し「熟慮期間延長の申立」を行なえば期間を延長することができます。

 

以上、相続放棄をすることのメリットとデメリットについてご紹介しました。相続放棄をするか迷ったら一度専門家に相談するとよいでしょう。

たかの司法書士事務所は相談を無料で承っていますので、お気軽にご連絡ください。

遺言書を作成したいけれど誰に相談すれば良いかわからない方へ たかの司法書士事務所がお答えします

2018-06-06

 

「遺言書を作成したいけれど、自分で自由に書いたものは有効になるのか。」
「遺言書に何を書けばよいか。」

遺言書を書きたいけれど、自分一人で書くのはちょっと不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、遺言書は専門家に依頼して作成することができます。さらに、弁護士だけでなく、司法書士や行政書士にも依頼することができるのです。

そこで今回は、「こんな時、どの専門家に依頼・相談すれば良いのか?」そんな疑問にお答えします。

 

○財産の中に不動産がある

相続遺産に不動産がある場合は、相続登記に詳しい司法書士に相談すると良いでしょう。

司法書士は、弁護士にも劣らない知識を持っていますので、不動産関係の悩み以外のことを相談することもできます。

 

○相続税がかかってしまう心配がある

相続税がかかってしまうほどの莫大な財産を持っている場合は、税務に詳しい税理士に相談すると良いでしょう。相続における税務は複雑ですので、遺言書作成時から相続税の生前対策や事業継承まで相談することができます。

 

○遺産相続に関してトラブルが起きそう

お子様が多数いらっしゃったり、養子がいらっしゃる場合は、遺産分割に関して争いが起きるケースが非常に多いです。そのようなことを未然に防ぐためには、弁護士に依頼すると良いでしょう。

もし仮に遺言内容や相続配分でトラブルが起こったとしても、当事者の代理として交渉することもできます。

 

○遺言作成から執行されるまで全て任せたい

遺言書作成の依頼を引き受け、執行まで見届けてくれるのが信託銀行です。信頼性が高く、一番身近に感じるのではないでしょうか。

 

○費用を安く済ませたい

書類作成の専門家である行政書士に依頼すると、比較的安く相談することができます。

 

○問題は特にないけれど、相談したいことがある

専門家に依頼するほどではないけれど、相談したいことがある場合は、フィナンシャルプランナーに相談すると良いでしょう。

あらゆる面での知識が豊富で、どの専門家に相談すべきかの判断もしてくれます。

 

○一番おすすめする専門家に相談したい

様々なケースに応じて対応する専門家をご紹介してきましたが、専門家によって大差はありません。

何社かの専門家に相談してみた上で、自分が一番信頼できる専門家に依頼してみてはいかがでしょうか。

 

今回は、どの専門家に依頼・相談すれば良いか?についてご説明しました。

たかの司法書士事務所では相談を無料で承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

安心の遺言書作成|遺言書を有効なものにするための方法とは

2018-06-02

遺言書は、残された家族に対して自分の思いを伝えることができると同時に、自分の遺産争族を自由に決めることもできる重要な書類です。
しかし、遺言書の書き方は民法で厳密に決められており、自分の希望を書くだけではその希望がそのまま反映させることはできないのです。
そこで今回は、遺言書を有効なものにするための方法についてお話しします。

 

○遺言書の種類

遺言書の種類には3種類あります。

 

① 自筆証書遺言
遺言者が紙とペンを使って自筆で遺言書を作成します。遺言者自身がその全文と日付と氏名を書き、これに印を押さなければ有効なものとしてみなされません。

この遺言書には特別な手続きが必要ないため、手軽に作成することができます。

他人に遺言内容を知られることもありません。しかし専門家のチェックを受けていないことで不備があった場合、無効になるリスクもあります。

 

② 公正証書遺言
2人の証人が立会いのもと、公証人が遺言者から遺言内容を聴きながら書面化して作成します。

公証人が書いた内容を読み聞かせ、遺言者と証人がその書面が正確であることを確認してから署名と押印し、さらに公証人も署名と押印をしなければ有効なものとして認められません。

遺言書は公正証書にして公証人役場に保管されます。

 

③ 秘密証書遺言
遺言者が自分で用意した遺言書を2人の証人と同行して公正役場に持っていき、遺言書の存在を保証してもらいます。

遺言者と証人と公証人それぞれの署名と押印が必要となります。手続きの際に証人と公証人に遺言書の内容を公開することはありませんが、不備があっても誰にも指摘されないため、遺言内容が無効になってしまうリスクがあります。

 

○遺言書を書く時の注意点

・せっかく遺産相続について書いていても曖昧な記載だと無効になってしまいます。具体的に正確な内容を書くようにしましょう。

 

・書き間違いの訂正や内容を追加する場合は、法律が定めた方式があり、守らないと無効になってしまいます。専門家にお願いして訂正するよりも、全て書き直していた方が良いでしょう。

 

・自筆証書遺言の場合、パソコンは使わず、必ず手書きで書くようにしましょう。手書きでない遺言書は無効になります。

 

以上、遺言書を有効なものにするための方法についてご紹介しました。自分が亡くなってから、大切な家族や兄弟が自分の遺産の相続に関して揉められるのは避けたいですよね。有効な遺言書を書いて、円満な遺産相続ができるようにしましょう。

相続の相談はどこにすれば良いのか。相談無料の司法書士事務所が解説します。

2018-05-29

相続について専門家に相談することも考えてみたけれど、弁護士・司法書士・行政書士・税理士など法律を使いこなす専門家の種類が多すぎて、誰に相談すればいいかわからない。
こんな風にお悩みの方も多くいらっしゃるかと思います。

法律は我々の生活に密接に関わっているにも関わらず普段気にすることなんてないですよね。
今回は、各専門家にはどんな相談が向いているのかをまとめました。

■専門家の特徴とどんな相談が向いているか

1.弁護士
訴訟に関する業務を含め、法的紛争に関わる代理業務は、弁護士の専権です。
遺産相続問題に限らず、慰謝料請求訴訟などを起こしたい場合などあらゆる法律問題に対して弁護士は対応することができます。
特に、遺産分割、遺留分に関する相談など、紛争の可能性ある事柄は、弁護士に相談することをお勧めします。

2.行政書士
手続きに必要な書類の作成を依頼したい場合は行政書士が向いています。
行政書士は文書作成のプロフェッショナルともいえます。
行政書士には代理権はありません。
また、相続人の調査を依頼することも可能です。

4.税理士
税理士は、税金の専門家です。
相続問題の中でも、とりわけ相続税に関する問題は重要ですよね。
そして、相続税を払うべきケースが、近年の法改正により増えています。
そうした場合は、税務申告のプロ、税理士に相談するのがおすすめです。
生前贈与を考えている場合も税理士に相談することをお勧めします。

4.司法書士
不動産の所有権が移転した時には、原則、所有権移転の登記をする必要があります。
そうした登記のプロ、それが司法書士です。
そして、相続財産の中に不動産が含まれている場合は非常に多く、相続手続きに関わる事が多いのも司法書士であると思います。
登記に関するものの他には、遺言書の作成や遺言の執行を依頼することもできます。

■まとめ

法律はなかなか分かりにくいため、専門家に相談することは非常に重要です。
そして、上記のように、法律の専門家と一口にいっても、様々です。
そのため、ミスマッチを防ぐため、自分が相談したいことをあらかじめ明確にした上で、相談する相手も選んでみてはいかがでしょうか。

相続手続きを1から10まで解説します。相続の入門に最適です。

2018-05-25

相続は人生の中でほぼ100%経験することになります。しかし慣れるほど何度も経験することはありません。
そこで今回は、相続手続きのおおまかな流れについて、まとめてみました。

■相続の手続きはどんな流れになるのか

1.死亡届を役所に提出する
まず、人がお亡くなりになった際には、死後7日以内に、役所に死亡届を提出しなければなりません。

2.遺言書があるかどうか
遺言書の有無を確認しましょう。
遺言書と一口にいっても様々です。
公証人立ち会いの下、作られる公正証書遺言や、全文・日付・氏名を自書・押印した自筆証書遺言などがあります。

3.相続人をしっかり確かめる
遺言が無いか、遺言に処分が指示されていない相続財産がある場合は、遺産分割の協議が必要になります。そして、遺産分割の協議は相続人の全員が参加する必要があります。
遠方にいらっしゃる方は電話でも大丈夫ですし、一度に全員で話し合えない場合は何回かに分けて話し合うことも可能です。
まずは、相続人調査をして誰が相続人なのかを明確にしておきましょう。

4. 相続財産もしっかり確かめる
相続人に加えて、相続するものを明確にしておく必要があります。
相続財産は、財産という文字面からプラスしかないとも思われがちですが、借金といったマイナスも含みます。
被相続人の借金や未払金についても確認しておきましょう。

5.相続に関する3つの選択肢
相続財産を十分に見極めた上で、単純承認・限定承認・相続放棄の3つの選択肢から1つを選ばなければなりません。
相続の開始を知ってから、三ヶ月以内にこの決断をする必要があります。
借金が多い場合には、限定承認と相続放棄が有力な選択肢になります。
一つの選択肢を選ぶと、撤回はできないという点には注意が必要です。

6.準確定申告
被相続人が自営業者であった場合など確定申告をしていた場合は、4ヶ月以内に準確定申告をする必要があります。

7.遺産分割協議
遺産分割に関する協議をすることになります。協議が終わり次第、遺産分割協議書を作成しましょう。
後で、トラブルを生まないように内容は明確にしておきましょう。
協議は一筋縄でいかないこともあります。
遺産争族と言われることもあり、トラブルが起こった際には専門家に介入してもらうのがおすすめです。

8.名義に関する手続き
現金はその場で分割が可能ですが、預金ともなればそうはいきません。
預金口座の名義変更が必要です。
不動産があれば、相続の登記も必要になります。

9.相続税申告をする
相続財産が基礎控除額を超える場合は、10ヶ月以内に相続税申告をしなければなりません。基礎控除額を超える限り、各種控除により相続税額が0円になる場合でも申告は必要ですので、注意しましょう。

10.遺留分
遺言書により、相続財産が受け取れなかった場合には、相続人が最低限受け取れるものとして遺留分を請求することができます。その方法を遺留分減殺請求といいます。
この請求権は、減殺すべき事由があることを知った時から1年経過すると時効消滅します。

■まとめ

今回は相続の流れを1から10まで解説しました。
相続の際は参考にしてみてください。
ご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。

相続登記をするべき理由。相続登記について基礎の基礎から解説します。

2018-05-21

所有者不明の土地が増えすぎて、問題になっていることをご存知でしょうか。
所有者不明の土地を全て合わせると、九州の面積を上回るという推計もあります。
そして、この問題と密接に関わっているのが相続登記です。

今回は、その相続登記について基礎の基礎から解説します。

■そもそも登記とは

登記とは、一定の事項を広く公に示すために公開された帳簿に記載することを指します。
この制度の一種が、不動産登記です。
ここでいう一定の事項は、土地や建物の所在や権利関係ということになります。

土地建物は、そこに住んでいる人が所有者であるとは限りません。土地にはそもそも名前など書いていませんし、建物には表札がありますが、借りて住んでいるだけかもしれません。
ある一軒家に住んでいる人がここを売ってくれると言っても、本当にその人が所有者なのか分かりません。
これを容易に調べる事ができる様に、この不動産は誰のものかを公に示す制度、それが不動産登記です。
そして、親などから引き継いだ土地建物の登記名義を、自分に変更する手続きが相続登記ということになります。

■なぜ不動産は登記する必要があるのか

それは、取引の安全を守るためです。
不動産の売買は非常に高額になります。
高額になる不動産取引の安全を保証し、安心して不動産を売買できるようにするため、不動産登記があるのです。

■しかし相続登記はされていない…

相続登記がされていない土地が増えているという現状は冒頭で述べました。
では、相続登記は、なぜされていないのでしょうか。

それは、まず、相続登記をする法的義務が存在しないためです。相続登記をする手続きが煩雑で、費用も掛かるため、というような理由も挙げられます。

■しかし、相続登記はするべき

短期的には問題は生じなくても、長期的に見ると大きな問題の火種になってしまう可能性もあります。
孫やひ孫の代くらいになって、いざその土地を処分する必要が生じたというような場合が結構あります。祖父名義・曾祖父名義のままになっている場合です。

亡くなった当時に速やかに手続きをしていれば、相続人5名で遺産分割協議すれば良かったものが、いまや相続人はその子や孫たち20名近くになり、連絡が取れない者もいたりすると、なかなか手続きができません。

所有者不明の土地とは、まさにこの様な、さらに長期間放置されている様な土地をいいます。

このように、相続登記をしないことにより生じる不利益はあります。

■まとめ

いくら義務がないとはいっても、相続登記をしないことから生じる不利益を考慮すれば、相続登記はしておくのがおすすめです。

相続放棄について基礎をまとめました。被相続人の借金にお悩みの方必見です。

2018-05-17

相続というと、無条件に被相続人の一切合切を背負うことになる、とお考えの方は多いのではないでしょうか。
相続には、相続をしないという相続放棄の選択もできます。
今回は相続放棄について、基礎の基礎からまとめました。

■相続放棄を規定する条文

相続放棄の規定があるのは民法915条です。
民法915条「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」

条文に規定があるように、相続人は、自分が相続人になったことを知った日から三ヶ月以内(熟慮期間)に、三つの選択肢から一つを選ばなければなりません。

一つは、相続財産の全てを承継する単純承認です。
二つ目は、相続財産の限度において、相続債務を引き受ける限定承認です。
そして、三つ目の選択肢は、相続による承継の効果をすべて消滅させる相続放棄です。

一度一つの選択肢を選んだら、原則その意思表示は撤回できません。(民法919条1項)
そのため、後からプラスの相続財産が出てきた、というような場合にも撤回はできません。
ただし、その選択をした理由に、詐欺や強迫が認められる場合は取り消し可能です。

■相続放棄の効果

相続放棄によって、相続人は初めから相続人とならなかったものとみなされるようになります(民法939条)。

プラスの相続財産に比較して、借金といったマイナスの相続財産が大きすぎる場合や、プラスの相続財産がなく借金しかないような場合に、通常取られる手段です。

また、借金は無くても、遺産相続を巡って相続人間に熾烈な争いが生じるのが明かで、自分は財産もいらないので一切関わりたくないといった場合にも有効な手段となります。

このような場合には相続放棄をするメリットがあるといえます。
相続人とみなされなくなっても血縁関係は変わらず残るため、親子でなくなるのでは、といった不安を抱える必要はありません。

ただし、先順位の相続人が全員相続放棄をした場合、次の順位の相続人に相続する権利義務が移ります。自分が負債を負わなくなった分、他の親族が負債を背負う可能性がありますので注意が必要です。
この点はあらかじめ相談しておくのがおすすめです。

■まとめ

今回は、相続放棄について基礎の基礎からまとめました。
相続についてお考えの方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
疑問点や相談事がある際はお気軽にご連絡ください。

遺言書の検認について徹底解説。遺言書はすぐに開封してはいけない。

2018-05-13

遺産相続は遺産争族と言われることがあります。
文字通り、相続は親族間での対立を生みやすいため、そんな言葉が生まれています。
そして、そんなことを防ぐためにできるのが、遺言書の作成です。

しかし、そんな遺言書ですが、封印をしている場合、見つけたらすぐに開封してはいけないことをご存知でしょうか。
今回は、遺言書の検認について解説します。

■遺言書の検認とは

遺言書に書かれている内容を裁判所で確認して、偽造・変造を防止する手続き、それが検認です。
民法1004条1項には、「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。」と規定されています。

■検認をする目的

上記のように、偽造や変造を防止するためです。
勝手に開けられることにすると偽造が容易になってしまい、相続争いにつながります。
また、改変されてしまうと、本人はお亡くなりになっているため、確認する方法がありません。
こうした理由から、検認が法定されています。

■うっかり検認をせずに開封してしまった…

検認前に封印を開封した場合は、5万円以下の過料が課されることになります。
注意が必要なのは「封印」を開封した場合で、「封印」とは、遺言書を入れた封筒の封口を糊付けで閉じて、そこに押印(割印)をしている事を言います。単に封口を糊付けしているだけで押印がなければ「封印」してはいないため、開封しても過料が課されることはありません。

なお、「開封してしまったから、遺言書は法的に無効なのかな。自分は相続人にはなれないのかな。」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、うっかり開封してしまっても、遺言書の効力は、有効に作成されていれば失われることはありません。相続人の資格を失うこともありません。

ただし、遺言書を改ざん、隠蔽、破棄したような場合は、法律上当然に相続人としての資格失います。(欠格)民法891条に規定されています。

■遺言書の検認が必要な遺言書の種類

自筆証書遺言と秘密証書遺言は遺言書の検認が必要です。
自筆証書遺言は、印鑑一つで作成でき、偽造・紛失のリスクがあるため検認が必要です。
秘密証書遺言は、公証人に提示こそしますが、内容までは確認されないため検認が必要です。

公証人と証人の立会いの下で作成され、原本が公証役場に存在する公正証書遺言はそうしたリスクがないため、検認は不要です。(民法1008条2項)

■まとめ

今回は遺言書の検認についてご紹介しました。
遺言書は作成するのも一苦労ですが、開封するタイミングでも注意点があります。
事前に遺族の方に伝えておくのがおすすめです。
それでも不安な場合は、公正証書遺言を選ぶのがいいかもしれません。

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